![]() チェストナットカヌー深くて扱いやすいプロスペクターとクルーザーモデルは、長い間カナダ東部の経験豊かなカヌーイスト達に好まれてきた。 約50年の間、チェストナットはカナダ全土で、ウッドキャンバスカヌーをほぼ独占してきた。 ヘンリーとウィリアム・チェストナット(Henry & William Chestnut)は、1897年頃、ニューブランズウィック州フレデリックトンの自宅”R.Chestnut and Sons”という金物屋でキャンバスカヌーを作り始めた。 地元の経験あるボートビルダーを雇い、メーンから入ってきたキャンバスカヌーを真似して作らせた。会社はすぐに大きくなり、メーン州に経験豊かなビルダーを求めた。その結果、オールドタウンカヌーと少なくとも1件の訴訟事件を起こしている。 チェストナットのカナダにおける最大の競争相手がピーターボロカヌーであった。 ピーターボロカヌーは、長い間オールウッドカヌーを作ってきたが、新たにウッドキャンバスカヌーの市場に参入してきたのだ。 1905年、チェストナットは、ウッドキャンバスカヌーの製法でカナダに於いて特許を取得した。これにより、カナダに於いては他の会社がキャンバスカヌーを作ることが出来なくなったのである。 ピーターボロカヌーは法廷にまで持ち込んだがチェストナットに勝つことは出来なかった。チェストナットの初期のカタログには、「我々の方法でウッドキャンバスカヌーを作ってはいけない」というような警告文まで記載されていた。 当初、チェストナット兄弟はカヌー会社は趣味のようなものと考え、小売りの問題は扱いたくないと考えた。しかし、特許の効果によりプレッシャーが大きくなっていった。 そして、1923年、チェストナットはかつては争ったピーターボロと和解しカナディアンウォータークラフト株式会社を設立する。基本的にはチェストナットの工場で作り、ピーターボロの市場で販売された。 一時、これらのカヌーは全ての3つの名前、つまり「チェストナット」「ピーターボロ」「カナディアンウォータークラフト」で販売された。 混乱が大きくなり、ピーターボロは再び独自のウッドキャンバスカヌーを作り始めた。 1920年代の2度の火災によりチェストナットカヌーはほとんど破壊された。 しかし、これによりハリー・チェストナットは以前にもまして真剣にビジネスに取り組むようになる。カヌーデザインは見直されるか改良され、型は作り直され、そしてかつて以上に復興を遂げた。 チェストナットが作り出したカヌーの種類の多さは数え切れないくらいだ。60以上の型があり、多くの場合それぞれの型から2、3種類の異なるスタイルのカヌーが作り出された。 軽く、重く、長く、深く、浅く、スクエアスターン、V−スターン、手の込んだ仕上げ、ラフキール、スムースボトムなど色々なパターンが作られた。 これらそれぞれのバリエーションは、たとえば Henry, Parr, Kruger, Boone などといった面白い名前が付けられた。実はこれらは全て16′Ogilvy というモデルだが、それぞれ僅かに異なっている。 チェストナットが工場を運営している間は順調だった。 ヘンリー・チェストナットは1941年に亡くなり、1954年にピーターボロカヌーが最終的にチェストナットカヌーを買収した。 1958年、ピーターボロは、チェストナットの資産を使って35万ドル借り入れし、ストリププランクの小型モーターボートの工場を新築した。 1962年、モーターボート市場がファイバーグラスに取って代わられるようになると、ピーターボロはビジネスから手を引き、借金は不履行となった。 最終的に銀行がチェストナットを所有したが、ピーターボロとカナディアンウォータークラフトは完全に消滅することになる。 何人ものオーナーが会社を存続させようとしたが、安くたくさん作ろうとしたためカヌーの品質は低下してしまった。1979年、ついにチェストナットはその長い歴史に幕を引くことになった。 チェストナットカヌーの型は北米中に散らばった。そして様々なビルダーが異なったモデルを作り始めた。 型作りの従業員であったドン・フレーザー(Don Fraser)とカール・ジョーンズ(Carl Jones)は、自分の店を持ち、チェストナットの人気のあるモデルを作り続けた。 会社の名前と多くの型は、オンタリオのインディアン部族に買い取られ、最終的にチェストナットカヌーのマニアで歴史家のケン・ソルウェイ(Ken Solway)の手に渡った。 ケンはトロントでチェストナットカヌーの名で店を始め、現在も作り続けている。 ■チェストナットカヌーの全てが詳しい本になっています。 "The Story of the Chestnut Canoe" 著者 Kenneth Solway ■チェストナットカヌーのホームページ http://www.eagle.ca/~chestnut/ ちなみに、扱っている設計図の中の16′プロスペクター、15′ボブ・スペシャル、15′レンジャーのオリジナルはチェストナットカヌーのものである。
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